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しゃばけ
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『しゃばけ』 畠中 恵 (新潮社/新潮文庫)

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書店で見かけるたび、柴田ゆうの、なんとも可愛らしげな物の怪のイラストに惹かれてとても気になる本だった。
先日、文庫になっていたのを見つけて、早速買って読んでみた。
これが期待を裏切らず、面白い。一気に読み上げてしまった。

主人公の一太郎は、江戸の大店の廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の若だんな。体が弱く、両親は壊れ物を扱うように、それはそれは大切にかしずいている。

彼の周りには、人ならぬ「妖(あやかし)」たちがうごめいている。鳴家(やなり)・獺・屏風のぞき・・・。「妖」とはいっても、おどろおどろしいものたちではなく、一太郎のよき遊び相手、話し相手である。2人の手代は犬神・白沢という、人ならぬものの名を持つ妖で、店を預かる一方で、体の弱い一太郎の守り役でもある。彼らの一太郎への甘やかしぶりも両親には負けないほどの筋金入りなのだ。

ある晩他出した帰宅途中で殺人事件を目撃する。それ以後、不思議な殺人事件が続発し、一太郎は事件の解決に乗り出していく。
一太郎は妖たちの協力を得て、事件の真相に迫るのだが、奇妙な連続殺人事件の犯人は、人ならぬ「なりそこないの付喪神(つくもがみ)」だった。
そして、事件の原因がほかならぬ一太郎自身の出生に関わっていることを知ったとき、一太郎は「なりそこない」と対峙することを決意する。
一太郎大事の手代たちは、大いに反対するが、

  (ここで逃げたら、生まれてこなければよかったと思うことになる。
   自分さえいなければ、たくさんの人が死ななくて済んだのだから・・・)

先にも書いたように、一太郎はまわりから、大いに甘やかされている。
にもかかわらず、彼にはいわゆる「金持ちのボンボン」のイメージの持つ、鼻持ちならないところがない。「金持ちのボンボン」にはちがいないが、その砂糖漬けのような境遇にどっぷりとつかってしまってはいない。
おっとりしていながら、一太郎は自分が「甘やかされている」という立場をよく自覚しているのだ。そこが一太郎の魅力である。

人のなかで暮らしてはいるが、時々感覚がずれている妖たちとのやり取りも面白い。
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